「この会社、何をしているの?」とChatGPTに聞く。説明が返ってくる。「なるほど」。画面を閉じる。
……いや、せっかく話せる相手なのに、検索窓と同じ使い方で退場させている。
最初の質問が悪いわけではない。答えを読んだあと、次の疑問を一つ拾うかどうかで、話の広がり方が変わる。
1回で止まるのは「答えが出たら終了」だから
天気や営業時間を確認したいだけなら、一問一答で十分。むしろ早く終わった方がいい。
でも「この会社はなぜ強い?」「どうしてこの商品が売れた?」のような話なら、最初の答えは入口にすぎない。会社の紹介を読んでも、その会社の面白いところはまだ分からない。
たとえば「この会社は食品を作っています」で終わる代わりに、「競合も食品を作っているのに、どこが違う?」と聞く。これだけで、調べる対象が会社紹介から商売の仕組みへ移る。
次は「なぜ・比較・逆」のどれかでいい
後続の質問を100個用意する必要はない。最初は次の3方向だけで十分だ。
- なぜ? 「値段が高いのに売れるのはなぜ?」
- 比べると? 「安い競合と何が違う?」
- 逆は? 「この売り方が失敗するのはどんな場合?」
「なぜ」で理由を探し、「比較」で特徴を見つけ、「逆」で思い込みを壊す。3つ全部を毎回やる必要はない。引っかかった一つだけを選ぶ。
比べて考えることには研究上の裏付けもある。2003年の交渉学習の実験では、二つの事例を別々に読むより、並べて共通点を考えた参加者の方が、学んだ考え方を別の交渉に生かしやすかった。ただし、これは交渉の学習についての結果であり、ChatGPTの質問法そのものを実験した研究ではない。
自分で1個考えてから、AIに3個出させる
「次に何を聞いたらいいか分からない」。それなら、答えから気になった言葉を一つ拾おう。
「利益率が高い」なら、「なぜ利益率が高い?」でいい。立派な文章はいらない。
それでも詰まったら、AIにこう聞けばいい。
この回答から次に聞くと面白い質問を、原因・比較・反例から3つ出して。まだ答えは書かないで。
候補を全部追いかける必要はない。最も気になった一つを選ぶ。AIが質問を量産し、自分が選ぶだけの「質問の食べ放題」にしないのがポイントだ。
面白い答えと、正しい答えは別
会話を広げるのは楽しい。でも、AIが「この会社は業界トップです」と言ったら、そのまま事実にしてはいけない。数字、日付、制度、製品仕様は、公式情報や信頼できる資料で確かめる。
質問はAIと増やしていい。事実までAIの勢いで増やさない。
結局、最初の一問で終わるかどうかは、難しいプロンプトを知っているかではない。答えを読んで「ちょっと待て、そこ面白いな」と思ったところに、もう一問足せるかだ。
検索なら「なるほど」で閉じる。壁打ちなら「それって、なんで?」から本番が始まる。
参考:Loewenstein, Thompson & Gentner (2003), Analogical Learning in Negotiation Teams。
