普通に話せた夜と、予定を取り消した朝
飲み会では会話も弾み、周りから「酒に強いね」と言われた。ところが翌朝は体調が悪く、楽しみにしていた予定を取り消す。これは架空の場面だが、昨日の拍手と今日のしんどさは、別の話として見てよい。
「最後まで話せたから大丈夫」と、自分へ合格証を出す必要はない。NIAAAは、酔いをはっきり感じる前でも運転能力は損なわれ得ると注意している。
飲み会は、正常に受け答えできるかの実技試験ではない。この記事も、酒の強さを採点する表ではなく、困ったことを見逃さず、必要な助けにつなげるための整理だ。
顔色を、飲んでよい量のメーターにしない
顔が赤くなる人も、ならない人もいる。しかし、色の変化だけから「この人はまだ飲める」と決めない。厚生労働省の情報でも、赤くならないことを、飲んでよい体質とは考えないよう説明されている。
相手の顔を見て追加を勧めたり、慣れるために量を増やしたりする話へ進まなくていい。「今日は飲まない」という返事にも、体質の証明はいらない。
翌日元気だった経験があっても、それを次回の飲酒許可にしない。反対に、つらかったからといって、意志や人格が弱いと採点する必要もない。まずは、実際に何が起きたかを扱おう。
チェックするなら、強さではなく起きたこと
安全に落ち着いてから、必要なら自分用に短く記録する。
- 何を、どのくらい、いつ飲んだか
- 分かる範囲の容器の量や表示された度数
- どんな不調や記憶の抜け、予定への影響があったか
- 分からない点と、医療者に相談したいこと
量や時刻を覚えていなければ、無理に数字を埋めない。これは診断でも、「次はここまでなら安全」という上限を計算する道具でもない。三杯まで、最後の一時間は控える、といった共通の正解を、この記録から作ろうとしなくてよい。
以前との違いを伝える材料にはできるが、一人で原因を決めつけるためには使わない。記録を作るために体調の悪い人を問い詰めたり、私的な健康情報を仲間に公開させたりもしない。
翌朝は、取り戻そうとして無理をしない
NIAAAの二日酔い情報では、コーヒーやシャワーで二日酔いは治らないと説明されている。
「これを済ませたら運転できる」という確認儀式を作らず、具合が悪いなら運転や機械作業を避け、別の移動手段や予定変更を考える。歩けるか試して安全を判定する必要もない。
強い症状、長引く症状、いつもと違う不調や心配があるなら、医療機関へ相談したい。肩や脚の痛みなども、飲んだ翌日という理由だけで脱水や二日酔いと決めつけない。薬を使うか迷うときは、医師や薬剤師へ飲酒の状況を伝えて確認する。
予定を減らすことと、自分で治療できたことは別だ。取り消しの連絡まで「根性がない証拠」にしなくていい。
呼びかけへの反応や呼吸がおかしいときは、待たない
NIAAAの注意喚起では、飲酒後の反応不良、異常な呼吸、けいれんは、直ちに救急の助けを求める徴候だ。
これらが一つでもあれば、地域の救急へすぐ連絡する。すべてそろうまで待つチェックリストにしない。「いつもたくさん飲める人だから」という評判で、目の前の異変を小さく扱わないようにしたい。
NHSは、そばを離れず、意識不十分なら口から与えず、救急の指示に従うとしている。
当人の酒の強さを話し合うより、今起きていることを救急へ伝える。恥ずかしさや場の空気を、連絡を遅らせる理由にしなくてよい。
「元を取る」より、次の日も大切にする
飲み会で残したいのが会話や思い出なら、杯数のランキングを作る必要はない。架空の断り方なら、「今日は明日の予定も楽しみたいから、この話の続きを聞く側に回る」でよい。理由を詳しく説明せず断る人にも、そのまま席を用意したい。
量を抑えにくい、記憶が抜けることがあるなど、気になることが繰り返されるなら、医療者や飲酒に関する専門の相談先を頼ろう。自力で止められるかの根性試験にしない。
NHSは、依存がある場合の急な断酒には危険があり、医療上の助言が必要だと注意している。飲酒の変え方も、一人で無理に決めなくていい。
目標は「本当に酒が強い人」の称号ではない。つらかったことをつらいと言い、必要なときに助けを求められることだ。
