mendoi-apps

冗談を真面目な主張だと思ってしまう

「カフェ1軒選ぶのに購買部立ち上がっとるやん!」

読書機能の使い方

聴く:本文を読み上げます。速読:語句を順に表示し、速さを調整できます。語学練習:別の言語版と対訳を読み比べます。保存:このブラウザーにブックマークし、プレイヤーの保存済み一覧から開けます。

この記事をシェア
広告
広告

「カフェ1軒選ぶのに購買部立ち上がっとるやん!」

このツッコミをAIに渡した。もっと面白い記事になると思ったのに、返ってきた文章はこうだった。

「ただし、厳密には購買部と同じではありません」

知ってるよ。

冗談を言ったら論文の査読が始まる。そんなAI文章の「ただし」地獄は、どうして生まれるのか。

冗談を真面目な主張だと思ってしまう

「カフェ選びが購買部になった」は、「比較が大変すぎる」という話を一瞬で伝えるたとえだ。ところがAIがこれを「本当に購買部と同じか」という問いに置き換えると、話が脱線する。

「購買部と同一ではない」「すべての人に当てはまるとは限らない」「一概には言えない」。はい、どれも正しそうだ。

でも、読者はカフェを選びたいだけで、購買部の定義を学びに来たわけじゃない。

たとえ話を、わざわざ裁判にかけないでほしい。

大事なのは、その冗談が何を面白がっているのかをつかむこと。カフェの例なら「条件を増やしすぎると、選ぶ前から疲れる」という説明を一つ足せば、ツッコミが生きる。

「正確に」と頼むほど、同じ注意が増える

AIに「間違えないで」「研究を確認して」「言いすぎないで」と頼むのは自然だ。問題は、注意書きを一度入れたことを忘れたかのように、次の段落でもまた付けてしまうこと。

研究の人数が少ないなら「少人数の研究なので、結果を全員に当てはめることはできない」と一度書く。それで伝わる場面は多い。

なのに次の節でも「必ずではない」、結論でも「個人差がある」。同じブレーキを三回踏めば、記事は前に進まない。

注意書きそのものが悪者ではない。科学ニュースの注意書きを扱った2019年の研究では、注意を促す表現が読者の関心を下げるとは限らないことが示されている。

消したいのは正確さではなく、重複したブレーキだ。

書き直すときは、読者の疑問を一本に戻す

この記事なら疑問は「なぜ『ただし』が増えるのか」。それ以外の話を全部入れる必要はない。

まず、変な出来事を見せる。次に「冗談を事実の主張と取り違えた」「同じ注意を何度も付けた」という原因を説明する。必要な根拠だけ添えたら、さっさと話に戻る。

旅行記なら、旅の途中で何が起きたかを追う。買い物の比較なら、どちらが向いているかを先に示す。ネタ記事なら、最後のオチを読む前に全部解説しない。

どの記事にも同じ「結論→研究→注意→まとめ」の型を押し込んだら、違う料理を頼んでも毎回同じソースが出てくる。

そして読み直すときは、一つだけ確かめたい。

研究や注釈を外しても、面白い話として筋が通っているか。

筋が消えるなら、もはやネタ記事ではなく、研究紹介の記事かもしれない。

正しいだけの文章は、読まれないこともある

もちろん医療やお金、安全の話では、読者が誤解すると困る注意を削ってはいけない。逆に、たとえ話のたびに「厳密には」を差し込む必要もない。

面白い観察が主役。説明はその面白さを増やすための脇役。根拠は、間違った方向へ走らないための手すり。

AIにツッコミを渡したら、ツッコミをもっと面白くして返してほしい。

「カフェ選びに購買部ができた」って言ったら、法務部まで増設するな。

参考:Bott ほか(2019) Caveats in science-based news stories communicate caution without lowering interest. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31246056/

この記事が役に立ったら、応援できます。 応援する

広告
広告
広告