白い犬が、どっさり。写真には、綿あめみたいなサモエドが何匹も並んでいる。
「かわいい。飼いたい!」
……でも、毎日の散歩と大量の抜け毛を想像したところで現実に戻る。そんな人でも、サモエドカフェなら短い時間だけ犬たちと過ごせる。
なるほど。売っているのはコーヒーではなく、巨大なモフモフに囲まれる時間だった。
本当に最近増えたの?
日本でサモエド専門カフェが目立つようになったのは、気のせいだけではない。たとえば「Samoyed cafe AL」は2023年9月、東京・駒沢に最初の店舗を開いた。運営会社によると、韓国のサモエドカフェを見たことが開業のきっかけだった。
2024年のSHIBUYA109 lab.のトレンド予測でも、韓国発の体験型カフェとしてサモエドカフェが取り上げられている。
もちろん「全国に何店増えたか」を示す業界全体の統計とは別の話。それでも、複数の店が登場し、一つの店の名前ではなく「サモエドカフェ」という種類の店が知られるようになった。
なぜ、ほかの犬ではなくサモエド?
白い。大きい。毛が多い。そして、口角が上がって見える「サモエド・スマイル」。写真一枚で何を体験できる場所なのか伝わってしまう。
ジャパンケネルクラブもサモエドを友好的で社交的な犬種として紹介している。とはいえ、犬種の特徴と、その犬が今触ってほしいかは別。眠い犬もいれば、人と距離を取りたい犬もいる。
店としての強みは、犬を飼わなくても出会えること。大型犬を自宅で迎えるには住まい、運動、食費、通院、毛の手入れまで毎日の責任がある。でもカフェなら、予約した時間だけ会いに行ける。
飼育の責任ごと「50分レンタル」できるわけではない。飼うのは店側。客が買うのは触れ合う機会だ。
人気が出ても、犬の休日は削れない
ここで普通の飲食店との決定的な違いが出る。人気商品なら追加発注できる。でも犬は商品棚から補充するものではない。
日本では、犬や猫を長時間続けて展示する際、自由に休める場所へ移動できるようにするか、一定の間隔で展示しない時間を設ける基準がある。実際に、店舗側が犬を交代で休ませると説明している例もある。
だから、店を選ぶなら写真映えだけでなく、犬が客から離れられるか、休んでいる犬をそっとしておけるかも気にしたい。
サモエドカフェが広がった理由は、「飼えないけれど会いたい」を短時間の体験にしたから。ただし犬にとっては、そこが毎日の生活の場所でもある。
お客さんは50分で帰れる。サモエドはそこで暮らす。
モフモフの営業時間より、モフモフ本人の休み時間を大切にしてほしい。
