mendoi-apps

仕事ができない部下は解雇できる?まず確認する6つのこと

「金曜までに資料を作って」と頼む。金曜、部下が資料を出す。上司はひと言。「いや、こういうのじゃなくて」。

読書機能の使い方

聴く:本文を読み上げます。速読:語句を順に表示し、速さを調整できます。語学練習:別の言語版と対訳を読み比べます。保存:このブラウザーにブックマークし、プレイヤーの保存済み一覧から開けます。

この記事をシェア
広告
広告

「金曜までに資料を作って」と頼む。金曜、部下が資料を出す。上司はひと言。「いや、こういうのじゃなくて」。

何をまとめるかも、誰に見せるかも伝えていない。完成してから初めて正解を発表する。これでは仕事ではなく、当てるまで終わらないクイズだ。

もちろん、伝え方を工夫しても仕事が進まない場合はある。でも、いきなり「能力不足」と決める前に確認できることがある。解雇の話まで進むなら、法律上の判断はまた別だ。

1. 「できない」の前に、合格ラインは見えている?

「資料を作る」だけでは、終わりの形が人によって違う。たとえば「金曜15時までに、先月の売上を商品別に表へまとめて共有する。判断に迷ったら水曜までに聞く」なら、何を目指すか分かる。

仕事を頼むときは、次の6つを確かめたい。

  • 目的:その仕事を何に使う?
  • 完成形:何ができたら終わり?
  • 期限:いつまでに、途中確認はいつ?
  • 優先順位:ほかの仕事と重なったらどちらが先?
  • 判断できる範囲:本人が決めてよいことは?
  • 助けを求める先:迷ったとき誰に聞ける?

6つ全部を長い会議で説明する必要はない。短い依頼文に入れるだけでも、「正解を後出し」する回数は減らせる。

2. 同じ「できない」でも、原因は6種類ある

仕事が止まっている人に「もっと頑張れ」と言っても、足りないものが努力とは限らない。

起きていること まず試せる対応
やり方を知らない 見本を一つ見せ、最初の一回だけ一緒に行う
完成の基準が分からない 合格例と不合格例を見せる
必要な情報を持っていない 資料や連絡先を渡す
決める権限がない 決めてよい範囲と確認先を示す
仕事が重なりすぎている 優先順位と担当量を見直す
仕事の種類が合っていない 得意な作業と役割の組み合わせを考える

もちろん、頼まれた仕事を放置する、何度伝えても同じ約束を守らない、といった本人の行動を確かめる必要もある。「すべて会社が悪い」も「すべて本人が悪い」も、どちらも雑すぎる。

3. 「指導した」より「次に一人でできる」が大事

上司は「3回説明した」と言う。部下は「3回とも何が違うか分からなかった」と言う。説明回数だけ増えて、理解は増えていない。

まず一つの作業に絞って、見本を渡す。本人に実際にやってもらい、どこで迷ったかを確認する。必要なら依頼文や手順を直し、次回は一人でできるかを見る。

失敗した箇所を責めるだけでなく、同じ条件ならもう一度できるかを確かめる。それが教育を「伝えたつもり」で終わらせない方法だ。

4. 記録は処分のためだけではない

改善の話をするときは、「先月からずっとダメ」ではなく、具体的な出来事を残す。

たとえば、いつ何を依頼し、どの基準を伝え、何ができていて何が不足し、どんな支援をして、その後どう変わったか。本人の説明も確認する。

記録があれば、会社が必要な情報を渡していなかったことも、本人が約束を守っていなかったことも見えてくる。記録は一方を悪者にする道具ではなく、原因を見間違えないためのものだ。

5. 「評価が低い」だけで解雇できる?

日本では、会社が解雇を自由に決められるわけではない。厚生労働省は、労働契約法16条について、客観的に合理的な理由がなく、社会の常識に照らして相当と認められない解雇は無効になると説明している。

ただし、「改善の機会を一度でも与えれば必ず解雇できる」わけでも、「能力不足なら絶対に解雇できない」わけでもない。業務の内容、求めていた水準、実際の問題、会社側の対応など、事情を合わせて考える必要がある。最終的な法的判断は個別の事案による。

また、30日前の解雇予告や解雇予告手当の話と、解雇そのものが有効かどうかは別問題だ。有期契約では契約期間中の解雇に、さらに厳しい制限がある。

障害のある労働者には、雇用分野の差別禁止や合理的配慮のルールも関係する。該当する場合は、単なる「本人の努力不足」に置き換えず確認したい。

個別の解雇・雇用問題は、雇用形態や就業規則、経緯によって結論が変わる。実際の判断や争いについては、都道府県労働局の相談窓口や労働問題に詳しい専門家へ確認してほしい。

6. 会社も本人も、「次の一手」を具体的にする

上司なら、「何ができていないか」を言う前に、完成形・必要情報・優先順位・支援を一度見直す。本人なら、「分からない」で止めず、何を決めれば進めるか、何の情報がないかを具体的に返す。

それでも進まなければ、支援や役割の変更を試し、事実に基づいて次の対応を考える。会社には成果を求める権利がある。働く側にも、何を求められているのか分かる形で伝えてもらう必要がある。

「この人は仕事ができない」と結論を出す前に、まず仕事の渡し方を点検する。部下を採点する前に、問題文が完成しているか確認しよう。


参考・確認先

※本文の資料作成場面は説明用の架空の例であり、特定の職場・人物を指すものではありません。法制度の説明は2026年10月11日に公開されている厚生労働省の資料を参照しました。

この記事が役に立ったら、応援できます。 応援する

広告
広告
広告