今日は何もしない。そう決めて漫画を開いたのに、登場人物のひと言から記事の案が浮かんだ。忘れないようにメモする。せっかくだから見出しも付ける。気づけば本文を書いている。
架空の書き手の休日だが、似たことは創作以外にもある。「少し調べるだけ」が、比較、検討、予定の組み直しへと続いてしまう。
好きでやっているし、面白い。それでも今日は、その続きをしないで過ごしたかった。
そんなときに考えたいのは、思考を完全に止める方法より、思いついたことを、その場で全部仕上げなくてもよくする方法だ。
座っていることと、仕事を終えた気分になることは違う
机を離れた。パソコンも閉じた。でも、さっき書いた文章の最後の一文が気になる。
これを「頭の検索窓が開いたまま」と表すと、感じを伝えやすい。ただし、検索窓もゲームのMPもたとえだ。疲れの原因や、脳に残ったエネルギーを測っているわけではない。
横になっているのに疲れる理由を、考えすぎの一言で決めることもできない。「頭がよく働く人だから」「好きな作業なら疲れていないはず」と、能力の話に置き換える必要もない。
まず見たいのは、今日の過ごし方だ。休もうとしていたのに、自分で次々と締め切りを足していなかっただろうか。
メモを開いたら、編集会議が始まった
先ほどの書き手は、アイデアを忘れないために一行だけ残すつもりだった。
ところが、書きかけを見ると続きを埋めたくなる。「この表現は弱い」「参考になる記事を探そう」「これ、別の記事にもなる」。メモ帳が、そのまま職場になってしまった。
ここで試せるのは、メモの完成度を下げることだ。
「漫画のあの場面。約束を守るって何?」
自分が思い出せれば、それで足りる。検索されやすいタイトルにする必要も、他人に見せられる文章にする必要もない。休憩用のメモに、編集長まで呼ばなくていい。
メモを取ること自体が作業の入口になるなら、書かずに見送る選択もある。浮かんだ案を全部保存しなければならない、という決まりはない。
「後で考える」は、無視することとは違う
創作の案と、気になる問題は少し違う。明日確認すべき仕事があるなら、単に忘れようとするより、確認することを短く残す方が合う人もいる。
NHSは、心配事を書き出したり、考える時間を設けたりする方法を紹介している。
たとえば、架空の予定として「明日の作業開始時に、会議資料の期限を確認する」と一行置く。それで今日は調べる画面を閉じる。これは小さな区切りの例で、書けば必ず落ち着くという話ではない。
もちろん、今対応する必要がある問題まで先延ばしにするわけではない。今日必要なことと、今日中に答えを出したくなっただけのことを、分けてみる。
楽しいことを、休息失格にしない
漫画、ゲーム、音楽、散歩。どれも、人やそのときの状態によって楽しみ方は違う。
「情報がある娯楽は全部仕事になる」「何も考えない散歩だけが正しい休み」と決めると、休日に新しい採点表が増える。漫画を楽しんだ後で、「また考えたから休息失敗」と反省会を開かなくていい。
先ほどの書き手なら、漫画を読むことは続けて、感想を記事に仕上げることだけやめてみる。別の日には、書く方が楽しくて読みかけを閉じてもいい。大事なのは、全部を成果物にする義務を自分に課さないことだ。
休みの途中で考えごとが浮かんでも、それだけで失敗ではない。
閉店時間は、自分を罰するために作らない
何かを作るのが楽しくて区切りにくいなら、「今日は夕食の前に文章を書くのを終える」など、自分の生活に合う目安を試してもいい。
決めた時間を過ぎたからといって、罰点は付かない。通知を見て戻ってしまったなら、次は通知を見なくて済む置き方にする。メモから執筆へ進んでしまうなら、今日はメモを短くする。
合わなければ変える。そのための目安であって、休む才能を判定する試験ではない。
また、疲れが続くときには、休み方の工夫だけで何とかしようとしない。原因の分からない疲れが続く、生活に支障がある場合は医療機関へ相談するようNHSは案内している。
今日の思いつきを、今日の宿題にしない
何もしないつもりの日に、何かを考えてしまう。それを責めるより、考えた後にどこまで進めるかを選んでみる。
一行で置いてもいい。後で扱ってもいい。面白かっただけで終えてもいい。
休みの日に浮かんだ問いまで、全部納品しなくていい。検索窓が開いたとしても、今日、その検索結果を一冊にまとめる必要はない。
