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50万円が高いのではなく、何に払うかが問題

「イタリア8日間、50万円級」。旅行の値段を見て思わず二度見した。いや、高い理由は分かる。でも、見たいのが街並みと建物なら、YouTubeでも相当見られる。じゃあ、わざわざ現地へ行く価値って何だろう?

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「イタリア8日間、50万円級」。旅行の値段を見て思わず二度見した。いや、高い理由は分かる。でも、見たいのが街並みと建物なら、YouTubeでも相当見られる。じゃあ、わざわざ現地へ行く価値って何だろう?

答えを考えていたら、旅行先でやりたいことがかなりはっきりしてきた。絶景を全部制覇するより、知らない料理を食べて、変な店をのぞいて、「何これ!」を何回も回収したい。

名付けて「カービィ式旅行」。公式の旅行術ではない。いろんなものを吸い込む『星のカービィ』から勝手に借りた名前である。胃袋に限界はあるけれど、好奇心ならいくらでも吸い込みたい。

50万円が高いのではなく、何に払うかが問題

2026年8月に確認された旅行商品の一例では、名古屋発のイタリア8日間で約39万~49万円という価格帯があった。燃油サーチャージや税金は別。航空券だけでなく、ホテル、移動、添乗員などを含む旅だから、単純に「ぼったくり」ではない。

むしろ、あれだけの移動を自分で手配する手間まで買える。何か所も回りたい人には、十分に価値がある。

ただし、「その旅に50万円近く払う価値があるか」は人によって違う。美術館も建築も大好きなら、現地で見ること自体が目的になる。一方、街並みは動画でかなり満足できる人にとっては、長距離移動が主役ではない。

大事なのは旅行の格付けではなく、何に一番ワクワクするかだ。

YouTubeは景色を運べる。でも料理は運べない

街角を歩く動画で、路地や建物、列車の車窓は見られる。行く前に予習もできる。むしろ、動画を見ておけば、現地でどこに寄るかも決めやすい。

でも画面越しの料理は、どれだけおいしそうでも食べられない。

揚げたての熱さ。見知らぬ香辛料の匂い。店員さんに教えてもらって初めて知る食べ方。予定になかった市場の騒がしさ。そういうものは、動画では完全には受け取れない。

技術が進んでも、いまのところ胃袋にはHDMI端子がない。画面の前で「うまそう!」と言っても、こちらの空腹は一ミリも解決しない。

もちろん、景色だって本物と動画は違う。空気の温度や、目の前に巨大な建物がある迫力は現地ならではだ。「景色は動画で十分」は万人の正解ではなく、一つの好みだ。

カービィ式旅行で集めるのは、訪問国の数ではない

旅が終わって「すごい国に行った」と言えることより、帰ってから「あの変な魚、うまかったな」と笑えることを大切にする。

例えば、近くの港町で初めての魚料理を頼む。地元の市場で名前を読めないお菓子を買う。小さな博物館に入り、意味不明な展示に出会う。移動距離は短いのに、頭の中は忙しい。

豪華旅行が一回分の大イベントなら、こういう外出は小さな新発見を何度も増やせる。どちらが得かは目的次第。費用も滞在日数も違う旅を「イタリア1回=台湾10回」などと機械的に換算するのは雑すぎる。

「食べたことがない」「見たことがない」「知らなかった」を予算内でどれだけ楽しめるか。それが、この旅行のものさしになる。

本場へ行きたい気持ちは、近所で試してもいい

イタリア料理に興味があるなら、まず近くの専門店で食べてみるのも面白い。ピッツァを食べて「なんか違う。これはもっと知りたい」と思ったら、そのとき初めて現地旅行を考える。

本場を知るための入り口が、必ず本場である必要はない。

ただし国内のレストランは現地の空気や生活まで再現するものではないし、そもそも料理を食べれば満足するとは限らない。現地で街を歩くことに価値を感じるなら、最初から行けばいい。好きな順番でよい。

結論:遠さより「行って何をしたいか」

旅行代金の高さも、訪問国の数も、思い出の濃さを自動では決めてくれない。

景色を見たいなら、動画で先に見る。食べたいものがあるなら、近場で探してみる。それでも現地でしかできない体験があるなら、そこへ行く。

この順序なら「遠いからすごい旅」ではなく、「どうしても行きたいから行く旅」になる。

今日も知らない味を一つ吸い込めたら、カービィ式旅行は大成功。なお、コピー能力は手に入らない。手に入るのは、たぶん満腹だけだ。

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