水族館のアシカが「オウッ!」と鳴いて、器用に向きを変える。テレビではイルカがジャンプし、シャチは巨大な体で水しぶきを上げる。
同じ「海の芸達者」だと思っていたら、家系図が予想外だった。実はシャチはイルカの仲間。アシカのほうが別グループなのだ。 大きさで分類すると、いきなり間違える。
アシカは「前ひれで泳いで、陸も歩く」
アシカはアザラシに近い仲間。大きな前ひれを動かして水をかき、陸では後ろひれを前へ回して体を支え、歩くように移動できる。小さな耳たぶも見える。
つまり水中だけでなく、プールサイドも活動場所。ショーで人のすぐ近くまで来られるのは、芸の練習だけでなく、体のつくりのおかげでもある。
イルカとシャチは「尾びれで進む」
イルカとシャチはクジラの仲間。前ひれは主に舵取りに使い、尾びれを上下に動かして泳ぐ。アシカのように陸を歩く体ではない。
そして一番ややこしいのがシャチ。名前には「クジラ」の印象が強いけれど、分類ではマイルカ科で、その仲間の中で最大級の体を持つ。巨大だからイルカと別の一族、というわけではない。
「イルカとシャチ、どっちが上?」と思っていたのに、親戚どころか同じ家族の枠だった。海の家系図、ややこしい。
「どっちが賢い?」より、得意技を見る
アシカは陸上でも水中でも動ける。イルカやシャチは音の反射を利用して水中の様子をつかむ。シャチには、群れによって狩り方や食べ物が異なる例もある。
だから、ショーで派手に跳ぶほうが賢いとか、人の近くで芸をするほうが優秀とか、そんな順位はつけられない。見ているのは知能テストではなく、それぞれ違う体と能力を使った動きだ。
愛知県の竹島水族館でもアシカショーが案内されている。次に見る機会があれば、芸だけでなく、前ひれと陸上での身のこなしにも注目してみたい。
「アシカは小さいイルカ」ではないし、「シャチは大きいだけの別物」でもない。海のショーは、同じ教科の発表会じゃなかった。
