表が全部埋まっても、確認が済んだとは限らない
架空の資料レビューを考える。QC発表のスライドはできた。グラフもある。ところが「なぜ、この問題を取り上げるの?」と聞かれると、説明が止まる。
そこで、先に設計シートを作ってみる。職場改善の資料について、問いと根拠を横に並べるメモだ。ただし、空欄をなくすことが目的ではない。セルの出席率が100%でも、中身が全部出席確認済みとは限らない。
PowerPointを下書きに使ってもいい。見た目の仕上げより先に、答えられることと、まだ調べることを区別したい。
評価表があれば確認する。なければ問いから始める
誰に、何を判断してもらう資料なのか。まず、発表の相手と目的をそろえる。適用される評価表があるなら、その版と要求を確認する。ここで提案するシートは公式のQC様式ではなく、考えを整理する一案だ。
評価表がない会議まで、どこかの大会の採点基準に合わせる必要はない。「何に困っているか」「何を試したか」「結果はどこまで確かか」と、聞き手に必要な問いを置ける。
現場を改善すること、その経過を正直に説明すること、読みやすく見せることは別の仕事だ。点を取るために、未確認の結果を確定させない。
七つの欄を、証拠からつないでいく
シートには、次の七つを並べてみる。
- 答えたい問い
- 今ある根拠と、その出所
- まだ分からないこと
- 現時点の回答
- 次の確認、その担当と日付
- 見せ方
- 根拠に合ったページ見出し
評価表との対応が必要なら、その参照先を添える。回答欄は「未確認」でもよい。資料を集めながら更新するもので、最初に模範解答を書き、後から合う数字を探す表ではない。
最後の見出しも、結論がまだ出ていなければ質問のままでいい。知らないことを、太字にしただけで知っていることへ昇格させない。
一行目を、打刻漏れの例で埋めてみる
説明用の架空例として、「どの種類の打刻漏れに、確認の手間がかかっているか」を問いにする。
根拠欄は、まず「記録未確認」とする。これから調べる資料として、合意した期間の、使用が認められた補正記録を候補に挙げる。この記事で実際の勤務記録を確認したわけではない。未確認欄は、漏れ一件の定義、資料の不足、重複連絡、確認に要した時間などだ。
同じ漏れにメールが三通あっても、漏れ三件とは数えない。件数とやり取りの負担を分け、比較する期間や打刻機会をそろえる。欠測はゼロにしない。記録がないだけで未就労と決めず、修正は正規の手順で確認し、時刻を作らない。
この時点の回答は「どの種類が大きいかは未確認」。次の作業は、担当と日を決めて、認められた記録の範囲と数え方を確認することになる。「退勤漏れが最多」と先に埋めなくていい。
頻度の話と、原因の話を別の行にする
ある種類の漏れが多かったとしても、それだけで原因は分からない。「思い出す手がかりが少ない」は、原因の仮説の一つだ。端末が使えない、説明が不明確、別の作業が割り込むなど、他の説明も確かめる。
仮説に合わない情報が出たら、回答を直す。目標も、実際の基準値と改善したい負担を見て考え、「半減なら格好がつく」で決めない。
対策を試す場合は、承認された範囲と期間で行い、手間や安全、使いやすさも確認する。原因欄と対策欄がきれいに対応していても、効果が確認されたことにはならない。
指摘は、直す行と次の確認まで具体化する
資料がそろったら、問いに合う表やグラフを選ぶ。分類の比較か、時間による変化かを考え、単位、期間、出所、限界を残す。機密情報は認められた場所で扱い、共有には必要な集計を使う。
「なんか弱い」と言われたら、「どの行の問いに答えていないか」「どの主張の根拠が足りないか」「次に何を確認するか」を聞く。色を直す前に、判断を左右する不足を優先したい。
一ページ一つの主題も目安になるが、必要な条件や例外まで消さない。設計シートは、願望を答案らしく仕上げる道具ではない。何が分かり、次に何を確かめるかを、隣の人へ渡せる形にする道具だ。
