ひっくり返す係は、すぐに決まる
友達と家でお好み焼きを作る場面を想像してほしい。「ひっくり返すの、俺がやる」と立候補者が出る。ところが、食後のホットプレートを洗う係を決めようとすると、急に全員が予定表を確認し始める。
焼く瞬間には人気がある。その前後には、そうでもない。
「家で作れるのに、わざわざ店へ行くの?」という疑問を考えるなら、この前後まで含めてみたい。材料代だけを比べると見えなくなるものがある。
粉を焼くまでに、夕食はもう始まっている
買い物をして、キャベツを切り、具材や道具をそろえる。食べ終われば、食器や調理器具を洗って片付ける。どれも特別に難しい作業でなくても、まとめて引き受ければ時間がかかる。
さらに「チーズ入りがいい」「今日は別の具がいい」と希望が増えることもある。一人が全員分を準備するなら、食事会の前からその人だけ開店準備中だ。
もちろん、家で作る楽しさもある。好きな具を選び、自分のペースで過ごせる。比べたいのは料理が作れるかどうかより、今日はその準備も含めて楽しみたいかどうかだ。
店へ行っても、自分で焼くとは限らない
日本政府観光局の紹介では、お好み焼きは日本の鉄板料理として説明されている。
ただし、店での過ごし方は一つではない。岡山県の公式観光記事には、自分で焼くか店員に任せるかを選べる店の例もある。
だから、行く前に焼き方の形式を確認すると話が早い。「今日は何も作りたくない」という人にとって、自分で焼く楽しさは、楽しさではなく追加の担当業務かもしれない。
自分で焼く場合も、鉄板や道具の扱いは店の案内に従おう。食事に来たのであって、ヘラの腕前を証明する試験ではない。
鉄板を囲むと、待ち時間にも話題ができる
目の前で焼ける料理を待ちながら、具の好みや注文の相談をする。食べる前から同じものに目が向く。その時間が楽しい人にとって、鉄板は会話のきっかけにもなる。
先ほどの架空の友達同士なら、ひっくり返す係のやけに真剣な顔だけで、しばらく話が続きそうだ。
ただ、全員が料理への参加やにぎやかな食事を望むわけではない。静かに食べたい日もある。「体験できるから得」と決めず、一緒に行く人が何を楽しみたいかを考えたい。
味も片付けも、ちゃんと料金の中にある
店を選ぶ理由には、好きな味や焼き上がりもある。お好み焼きを「安い粉にイベント代を足したもの」とだけ考えると、料理そのものの工夫まで見落としてしまう。
品ぞろえも店ごとに違う。いろいろ食べたいならメニューを確かめればいいし、一枚をじっくり味わいたいなら、種類の多さは最優先でなくていい。
片付けを自分でしなくてよいことにも価値がある。ただし、作業が消えるわけではなく、店の人が担っている。店へ行けば服ににおいが付かない、という保証もない。「楽になること」と「何も起きないこと」は別だ。
今日、どこからどこまで楽しみたいか
家で作るなら、準備から片付けまで含めた一晩。店で食べるなら、料理や接客、その場所で過ごす時間を含めた一晩。予算や移動の手間も含めて、今の自分たちに合う方を選べばいい。
「作れる料理にお金を払うのは損」というほど単純でも、「外食なら必ず楽でお得」というほど都合よくもない。
家で焼きたい日も、誰かに焼いてもらいたい日もある。ひっくり返す係だけでなく、片付ける係まで想像すると、今日のお好み焼きをどこで食べたいかが少しはっきりする。
