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高級店は3倍うまい?値段に入っている「味以外」の正体

3,000円のランチは、1,000円の定食の3倍おいしいのか。値段が3倍でも、味を3倍と測ることはできない。追加の料金は、料理人の腕、仕込み、接客、空間、初めて出会う一皿にも使われている。 比べるなら舌の満足だけでなく、その店で何を体験したいかだ。

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3,000円のランチは、1,000円の定食の3倍おいしいのか。値段が3倍でも、味を3倍と測ることはできない。追加の料金は、料理人の腕、仕込み、接客、空間、初めて出会う一皿にも使われている。 比べるなら舌の満足だけでなく、その店で何を体験したいかだ。

卵は安い。でも、毎回きれいに開くオムライスは職人技

家でオムライスを作るとき、卵を切り開いた瞬間にトロッと広がるように仕上げるのは難しい。たまたま成功するのと、注文が立て込む店で何皿も同じ仕上がりにするのは、さらに違う。

卵がぱかっと開くのは一瞬。でも厨房では、火加減を体で覚えるまで何度も練習し、注文が重なっても同じ仕上がりに近づける。高級店ならさらに、何時間もかけるソースや料理ごとの温度、席に合わせたサービスが加わる。食材の値段より見えにくいのは、その仕込みと技術だ。

人件費も数字で見ると分かりやすい。米国の飲食店団体が2024年の経営データを集めた調査では、客席で接客するタイプの飲食店の人件費(福利厚生を含む)は、売上に対して中央値36.5%だった。これは米国の幅広い飲食店の数字で、高級店だけの割合でも日本の平均でもない。それでも、料理の原価だけで値札を説明できない理由は見えてくる。

町中華の定食がものすごくおいしい日もある。「気軽に満足できる」は、あの値段だからこその強みだ。

皿の余白と値札は、味まで動かすことがある

大きな皿に料理がひと口。ソースが点々。余白まで請求されているのかと思うが、盛り付けには意味があるかもしれない。

2014年に60人が参加したサラダの実験では、材料と分量が同じでも、抽象画のように盛った皿は食べる前の見た目の評価が高く、食べた後の「おいしさ」の評価も高かった。

それだけではない。参加者は芸術的な盛り付けなら、ほかの2種類の約2倍を「払ってもよい」と回答した。皿の余白が先に財布へ話しかけたらしい。実験は研究室で行われ、参加者の多くは学生だった。「約2倍」は実際に支払った額ではなく、質問への回答。盛り方で一口に入る材料の組み合わせも変わるため、見た目だけの効果とは言い切れない。皿の余白に値札を貼る公式、という話でもない。

2008年のワインの実験では、実際には同じワインでも高い値段を示されると、楽しさの評価が上がった。舌だけではなく、目と期待も食事に参加する。なお、請求額だけは期待で減ってくれない。

さらに、台湾のミシュラン星付き8店で2022年1~4月に集めた439人の回答を分析した研究では、全体として価格が上がると料理満足度はいったん上がり、その後は下がる山型の関係が出た。ただし1つ星の店では逆の谷型になる結果もあり、全店が同じ傾向ではない。調査が捉えたのは価格と満足度の関係で、値上げそのものの効果ではない。 この調査で価格との関係が見られたのは料理への満足度で、接客や店内環境への満足度には同じ関係が見られなかった。

最初の一回は、豪華ディナーよりランチを調べる

「ちょっと高い店の技術を見たい。でも財布が怖い」。それなら、昼のコースから探す手がある。店によっては皿数や食材を調整し、夜より利用しやすいランチを用意している。

もう一つは席と時間の話。今日の昼12時に空いていた席を、明日になって「昨日の分」として売ることはできない。飲食店が席数と食事にかかる時間を合わせて考える方法は、コーネル大学の研究(1999年)でも扱われている。昼の価格や短いコースには、料理の違いだけでなく、時間帯ごとの席の使い方が関係する場合もある。

昼のコースは、同じ店の技術を手頃に楽しめる別の入口。 料理の内容や皿数、食材、予約条件、飲み物代は夜と違うことがある。行く前に、その日の公式メニューを確認しよう。

選ぶ基準は三つで十分だ。「家で再現しにくい料理があるか」「初めての味に興味があるか」「空間やサービスも楽しみたいか」。三つとも気にならない日は、好きな定食屋が正解だ。

高級店は「うまさの上位互換」ではない

高級店は、料理に腕前と発見と演出を足した別の体験だ。いつもの定食に救われる日もあれば、料理人が目の前で仕上げる一皿に感動する日もある。

値段の倍率より、その店でしか楽しめないものがあるか。 まずは昼のメニューを見てみよう。皿の余白は広くても、財布の余白まで全部使う必要はない。

参考資料

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