朝5時。昨日はよく眠れなかった。でも、外は涼しい。
「今から1時間歩いても、寝不足だから運動したことにならない?」
なる。歩いた道に、睡眠時間で消しゴムはかからない。 ただし、だからといって寝不足が帳消しになるわけでもない。
WHOは睡眠時間で散歩のポイントを減らさない
世界保健機関(WHO)は、大人に週150〜300分の中くらいの強さの運動を勧めている。目安は「週」なので、毎日同じ時間に歩かなくてもいい。
ただし、ここは引っかかりやすい。のんびり60分の散歩も体を動かした時間ではあるけれど、必ずしも「中くらいの強さの運動60分」ではない。少し息が弾む程度の速歩なら、目安に近づく。
WHOのレジ係が「睡眠6時間だから今日は散歩ポイント半額」と言ってくることはない。でも「ゆっくり歩いたのに、速歩と同じ60分で計算しました」も違う。
寝不足だと、歩いても疲れやすい
睡眠不足は、運動で出せる力を落とすことがある。2022年の複数研究をまとめた論文でも、睡眠を削ると運動成績が下がる傾向が示された。
これは「歩いた健康上の意味がゼロ」という研究ではない。 記録が伸びない、足取りが重い、判断が鈍るといった話だ。眠くてふらつくほどなら、運動の数字を積むより休息と安全が先になる。
つまり、散歩は散歩。寝不足は寝不足。別会計で考えると分かりやすい。
「朝5時に歩く」前に一つだけ考える
このあと、もう一度寝たい?
今日はもう起きるなら、無理のない範囲で軽く歩く選択はある。夏場は日差しが弱い早朝のほうが歩きやすい日も多い。ただし、早朝でも蒸し暑い日はある。
反対に、数時間後にもう一度眠りたいなら、明るい朝日を浴びて外を歩くと目が覚めてしまう可能性がある。寝直したいのに、脳へ「本日開店!」の看板を出すことになる。
睡眠を削ってまで朝5時に起きる必要はない。 「今日は歩けた」のために睡眠を1時間減らすなら、本末転倒だ。
まとめ:散歩の得点で寝不足の借金は返せない
寝不足でも、歩いたこと自体は無駄にならない。ただし、ゆっくり歩いた時間と速歩の時間は区別しよう。眠気や暑さが危険なら、無理をしない。
「寝不足でも運動したから健康!」でも、「寝不足だから散歩は全部無意味!」でもない。
歩数計と睡眠計は、違う帳簿である。片方の黒字で、もう片方の赤字は消えない。
