22歳で仕事を何度か変え、次は派遣で働くという人がいる。
「もう正社員を辞めるの?」「それ、逃げ癖じゃない?」
履歴書の行数を見ただけで、いきなり人物鑑定が始まった。でも、前の会社で何があったのかも、次に何をしたいのかも、まだ聞いていない。
大事なのは何回辞めたかだけでなく、辞めた理由と次の働き方がつながっているかだ。
若いうちに仕事を辞めるのは、珍しいことではない
厚生労働省が2025年10月に公表した調査では、2022年3月卒業者のうち、就職後3年以内に最初の職場を辞めた割合は大学卒で33.8%、高校卒で37.9%だった。
大学卒なら、およそ3人に1人。初めて入った会社を3年以内に離れること自体は、特別な事件ではない。
ただし、この数字は同じ人が何回転職したかを示していない。まして「辞めた人は成功する」「派遣に移るのは正解」という証明でもない。数字に書かれていない運命を勝手に読み取らないこと。
正社員から派遣へ移る理由は、一つではない
たとえば、働く曜日や時間を調整して、資格の勉強をしたい人がいる。家計を支えながら、別の仕事へ移る準備をしたい人もいる。
この場合、派遣は最終目的地ではなく、途中で使う交通手段だ。
一方、「何をしたいかは決めていない。とにかく次へ」と動く場合、前の仕事と同じ悩みが続くこともある。派遣に変えれば、通勤、仕事の指示、人間関係が全部消えるわけではない。
ただし、ここで「人間関係で辞めた」を一律に本人の問題にするのも雑だ。嫌がらせや危険な環境から離れることには意味がある。似た業種の会社で似た問題が続いているなら、まず職場の条件と実際に起きたことを切り分けたい。
見るべきは、辞めた回数より「次の一手」
判断の材料は三つで足りる。
何を変えたいのか。 勤務時間なのか、仕事内容なのか、働く人との距離なのか。言葉にできれば、次の職場を選ぶ条件になる。
暮らしは回るのか。 時給だけでなく、働ける日数、契約期間、通勤、社会保険、収入が途切れたときの備えまで確認する。自由な時間が増えても、毎月の支払いが不安なら長続きしにくい。
いつ見直すのか。 例えば半年後に、勉強が進んだか、収入は足りているか、次の仕事に応募できるかを見直す。目的のないまま同じ場所に居続けるのも、逆に焦って何度も飛び出すのも避けやすくなる。
「派遣で働く」が答えなのではない。「派遣で働いて、何を実現するか」が答えになる。
すぐに辞めることと、ずっと我慢することの二択ではない
職場が合わないとき、誰かに相談する、仕事内容を変えられないか聞く、次を探しながら働く、早めに離れる――選択肢はいくつもある。
安全や健康を損なう環境なら、計画を完璧に仕上げるまで耐える必要はない。一方、すぐに辞める理由がないなら、次の仕事を調べてから動く方が有利な場合もある。
「辞めたら負け」という判定も、「辞めれば全部解決」という判定も、どちらも早すぎる。
結論:職歴は過去の地図。これからの行動は別の話
正社員か派遣か、何社経験したか。そこには情報がある。でも、その人がどこへ進もうとしているかまでは書かれていない。
履歴書を見て「あっ、また転職!」と実況するより、「次は何を変えようとしているの?」と聞く方がずっと役に立つ。
職歴は過去の地図。次の目的地は、まだ自分で決められる。
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(2025年10月24日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html
