資料は前回と同じなのに、議長だけ残業
参加する研修を決めるために、内容と日程を調べた。仕事との兼ね合いも考え、今回は見送ることにした。
ところが夜になると、「本当にそれでよかったのか」と会議が再開する。翌日も、その翌日も。新しい資料はない。議長である自分だけが毎晩残業している。
これは架空の例だが、似た経験はあるかもしれない。いったん考えるのを休みたいのに、「ここまで考えた自分を否定することになるのでは」と感じる。
考えてきた時間を全部間違いにしなくても、今日は別のことをしてよい。過去の考えを大切にすることと、同じ会議を続けることは、同じではない。
持ち帰るのは『絶対に正しい結論』だけではない
研修を調べるうちに、学びたい内容や、今の生活で無理のない時間帯が分かったかもしれない。そうした気づきは、申し込むかどうかの答えとは別に残せる。
一方で、たくさん考えたから、その結論が必ず正しいわけでもない。見落としが分かれば直してよいし、後悔する気持ちが残っていてもよい。
「あのときは、この情報と事情をもとに選んだ」。そこまでを認めるだけでも、振り返りは成立する。自分や他人の人格まで判定する必要はない。
せっかく時間をかけたから同じ選択を守り続けなければ、と思うと、メモが参考資料から契約書へ変わってしまう。自分で自分に違約金を請求しなくていい。
見直す理由が出たら、また開いてよい
たとえば研修が録画でも受けられると分かった。勤務日が変わった。今は別の内容を学びたいと気づいた。前回の比較に誤りがあった。
こうした変化があれば、考え直す理由になる。新情報だけでなく、自分の必要や優先順位が変わることもある。
反対に、同じ情報を見ながら漠然と不安になったときは、「今、何を確かめたいのか」を言葉にしてみる。不安を無価値な通知として切り捨てるためではない。確認できる用件と、まだ答えが分からない気持ちを、少し分けるためだ。
すぐに区別できなくても構わない。人に相談したいと思ったら、その選択も残しておきたい。
自分のための、短い暫定メモ
NHSは、悩みを書き出す方法を紹介している。ここでは、次のような自分用メモを一つの案として考えてみる。
- 大切にしたこと:今月の予定に無理なく組み込めること
- 今分かっていること:開催日は仕事と重なる
- まだ分からないこと:録画で受けられるか
- 次の確認:申込期限に間に合う時点で主催者へ聞く
- 見直す条件:受講方法や勤務日が変わったら再検討する
これは独自の生活上の例で、決まった治療手順ではない。すべての欄を埋めなくてもよいし、形式が合わなければ変えてよい。
最後には「今のところ」と添えておく。後の自分が違う答えを出せるように、余白を残すためだ。
区切ることを、新しい思考禁止にしない
メモを置いて食事をする。本を読む。必要な連絡をする。考え事とは別の用事へ移る区切りは、自分の生活に合わせて選べる。
それでも考えが戻ってきたら、「閉じ方が下手だった」と採点しなくていい。思考には、書類のように確実に閉じられるボタンがあるわけではない。
また、区切りを決めたからといって、危険への対応や今日必要な用件まで先送りしない。相談が必要な問題を、メモだけで解決した扱いにもしない。
何時以降は判断禁止、何分以上続いたら失敗、という共通ルールは設けない。ここでの区切りは、気持ちを完全に晴らした証明ではなく、今できる範囲で別のことにも時間を使うための選択だ。
考えた時間も、これからの助けも大切にする
米国精神医学会は、つらい反復思考が生活を妨げるとき、専門家の支援を勧めている。眠れない、仕事や日常が難しいときは、医療機関などに相談してよい。自分だけで区切れるようになるまで、待つ必要はない。
NIMHは、自殺を考えたり自傷の衝動がある場合、直ちに支援を求めるよう案内している。差し迫った危険がある、安全を保てないときは地域の緊急窓口や救急へ連絡し、信頼できる人にも助けを求めてほしい。
考えてきた過去を認めることは、結論を永久に固定することではない。気づいたことは持ち帰り、分からないことには印を付け、変わった事情にはまた向き合う。今夜すべてを決着させなくても、その振り返りは捨てたことにならない。
