『らき☆すた』を見返していたら、昔の携帯電話の電池が気になった。あのころは「2年くらいで電池が弱る」という感覚があった気がする。
2年? 今のスマホだって3〜4年使うのに、昔の携帯ってそんなに弱かったの?
ところが2006年発売のドコモ「N902iX HIGH-SPEED」は、待受時間が約560時間。日数にすると約23日だ。
2年で電池が弱るのに、1回の充電で23日待てる。どういうこと?
「23日使える」わけではない
実は、560時間という数字には大事な条件がある。ドコモが示したのは、電話をほぼ操作せず、電波条件などが決まった状態での連続待受時間だ。
23日間ずっと通話できるわけでも、動画を見続けられるわけでもない。待つことに全振りした記録である。
今のスマホは、起きている間ずっと仕事をさせられる。動画、地図、カメラ、ゲーム、通知。昔の携帯が静かに留守番している横で、スマホだけ24時間営業の便利屋になっている。
「1回の充電でどれくらい待てるか」を比べても、そもそも勤務内容が違いすぎる。
しかも昔は、電池だけ取り替えられた
もう一つの落とし穴がある。電池の寿命と、携帯本体の寿命は別だ。
2000年代の日本の携帯には、裏蓋を開けて電池パックを交換できる機種が多かった。電池が弱ったら、電池だけ新品にする。
今のスマホは内蔵型が主流で、交換には修理サービスを使うことが多い。だから「電池がへたった」と聞いたときの面倒さまで変わった。
昔の携帯:裏蓋を開ける。電池を入れる。復活。
今のスマホ:交換費用を調べる。予約を考える。「……買い替えた方がいい?」という別の会議が始まる。
では、スマホの電池は進歩していない?
そうとも言えない。Appleは、iPhone 14以前の電池を理想条件で500回の充電サイクル後に最大容量80%、iPhone 15以降を1,000回後に80%を維持する設計だと説明している。
この「1回」は充電ケーブルを挿した回数ではない。合計で電池100%分を使うと1サイクルだ。
電池の耐久性は改善してきた。それでもスマホを毎日充電するのは、画面も処理も通信も、増えた仕事が大きいから。電池は進歩した。でも仕事を任されすぎた。
『らき☆すた』が教えてくれた、思わぬ時代の差
昔の携帯は「長く待つのが得意な電話」。今のスマホは「電話もできる小さなコンピューター」。
「電池2年」は電池パックを交換する目安の話で、「待受23日」は操作しない条件での話。この二つを同じ物差しに乗せたから、妙な矛盾が生まれた。
『らき☆すた』を見ていたはずなのに、気づけば携帯電話の勤務改革を考えていた。昔のガラケーは休むのがうまかった。スマホは働きすぎである。

